フエについて
ベトナムの歴史は古く、最初の王朝が出来たのは、千年以上も前である。何 度か、王朝の交代はあったが、基本的には長い間独立した王国として、現在の ベトナムとほぼ同じ地域をを統治してきた。
長い王朝の時代は、国内的には独立した王国の体制を保ちつつも、対外的に は中華王朝に対して朝貢(ちょうこう)を行い、広く深く中華文化が伝搬した。
最後の王朝となった阮朝は、ベトナム中部のフエに首都を置き1945年まで約 150年の間続いた。
だが、1800年代後半よりフランスの侵攻を受け、フランス領インドシナとして、植 民地支配を受ける。
この長い植民地支配の間に受けた、フランス文化の影響が、永きに渡る中華 文化の地盤と相重なり、独特の文化様相を示すことになる。
かつては漢字が使われていたが、後に、フランス主導のもと、アルファベットを基 本とした現在のぺトナムの文字に切り替えられた。
したがって、歴史的な建造物には、いたるところに漢字を見つける事ができる。
王宮
ベトナム最後の王朝がおかれた、阮朝王宮は、フエを象徴する建造物だ。世 界遺産にも登録されている。
高さ4メー トル、厚さ1メー トルの城壁に囲まれ、その周囲は2.5kmにもなる、約 3.6平方キロメー トルの広大な敷地をもつ。
王宮の建造物の上部は、ガラスや陶磁器で装飾されており、悪霊の侵入を防 ぐためのものであつたと考えられている。
フエは、ベトナム戦争時に激しい戦闘に巻き込まれ、王宮の多くが大破したが、 現在では、そのほとんどが修復されている。
テイエンムー寺
1601年に建立された、フエで最も古く、そして美しい寺院だ。
老婆の天女が、寺の建立のきっかけとなったという伝説から、天女の寺とも言わ れている。ティエンムーを漢字で書くと、ティエンは「天」、ムーは「姥」を意味する。
小高い丘の上に建つこの寺院は、荘厳で静かな雰囲気に包まれている。穏や かに流れるフォーン川を、高台から眺める事ができる。ゆっくりと散策しながら、心 静かな気持ちで、美しい景観と庭園を楽しむ事の出来る場所である。
ドンバ市場
ドンバ市場は、フエの台所として知られている。
コンクリート造りの二階建てのビルの中には、生鮮食料品や雑貨が一階に、衣類 などが二階で売られている。
フエの料理は、唐辛子を多用する事が特徴で、果物なども、唐辛子の入ったス パイスを付けて食することがある。
フエ鉄道
マニアでなくても、フエからダナンへの移動は、是非鉄道を試してほしい。約3時 間程の旅程ではあるが、海岸線に沿って走るエリアが多く、断崖からの素晴らしい 眺望が楽しめる。列車は、通常それほど混んでいないので、上下二段の寝台席 を選ぶと、個室となる可能性も高い。最も料金の高い二段の寝台車でも7〜 80000ドン(約400円)程である。